新しい農業のカタチをつくる場所。
2016年、愛知県豊橋市。渥美湾に面したこの地に38,700㎡という、大規模な園芸施設が誕生しました。
それは次世代施設園芸の導入を推進する農林水産省から支援を受け、愛知県内の産学官が連携して取り組むプロジェクト。
運営はイノチオグループに委ねられ、「イノチオファーム豊橋」と名付けられました。
2016年、愛知県豊橋市。渥美湾に面したこの地に38,700㎡という、大規模な園芸施設が誕生しました。
それは次世代施設園芸の導入を推進する農林水産省から支援を受け、愛知県内の産学官が連携して取り組むプロジェクト。
運営はイノチオグループに委ねられ、「イノチオファーム豊橋」と名付けられました。
野菜や果樹、花きなどの園芸作物は、日本の農業産出額の約40%を占める重要な柱となっています。しかし課題もあり、冬場の暖房コストが経営を圧迫する、化石燃料を使うため環境負荷がかかる、栽培ノウハウが若い世代に継承されていないなど、発展を妨げる問題を長年抱えてきました。それらの課題を解決するため、農林水産省は次世代施設園芸の導入支援を行っており、イノチオグループを含む産学官で構成するコンソーシアムが、愛知県拠点として取り組むことになりました。社会の大きな期待を背負ったこの農場。運営はイノチオみらい株式会社が担い、「イノチオファーム豊橋」と名付けられました。
□化石燃料使用量の低減 □施設の大規模な集約によるコスト削減
□環境制御技術による周年計画生産 □所得向上・地域雇用の創出
イノチオみらい(株)、イノチオアグリ(株)、(株)サイエンス・クリエイト、豊橋技術科学大学、愛知県、豊橋市、JA豊橋、JA愛知経済連
イノチオファーム豊橋は、経営コストと環境負荷を減らすため、隣接する浄化センターの放流水を利用するプランを打ち出しました。放流水は微生物処理の際に発生する熱で温かく、年間を通して19℃に維持されます。この熱を施設に取り込むことで、暖房エネルギーのコストを削減する計画です。採用したのは「Geo-MAX」と呼ばれるシステム。地中に直径80cmの管を埋設し、管の外周に地下水を循環させ、地中熱を効率よく熱交換する大風量・省エネルギー型のシステムです。
この「Geo-MAX」を活用し、浄化センターからの放流水を管の周囲へ流し、内部に風を送り込むことでハウス内の空気を暖めます。この仕組みによって、従来からA重油の使用量を30%削減することをめざしています。
大規模な施設を的確に管理し、収穫を安定させるために、複合環境制御装置、培地重モニタリングシステム、潅水制御システムなど、先端技術を積極的に導入しました。そして、これらの技術をどう運用すれば、より高品質で生産性を上げられるか、その探求も重要なミッションのひとつとなります。どう環境を制御したのか、その環境下でどう育ったのか、1週間単位で生育状態の確認と検証を行い実証データを蓄積しています。ここで得たノウハウは地域や日本の農業に発信されるもの。産業発展のためという大きな使命感を持って運営しています。
栽培生産エリア
管理エリア
機械設備エリア
□総面積:38,700m² □栽培棟:36,180m² □育苗施設:1,152m² □エネルギー施設:1,368m²
□Geo-Max □ミストシステム □ハンギングガター □養液栽培システム □環境制御:エアロビート □潅水制御:アクアビート
□培地重モニタリング:スラブサイト □重油焚温風暖房
養液栽培システムを採用する「イノチオファーム豊橋」では、その排液を100%適切処理する仕組みづくりにも取り組みました。従来の養液栽培では排液のリサイクル率は50%にとどまり、残りは廃棄されていました。そのため、地域によっては環境への影響を懸念する声もありました。プロジェクトチームはこの問題を解決するために愛知県の協力を得て、100%の排液適切処理を実現しました。
また、トマトの収穫後に残る残渣(ざんさ)についても、廃棄せずに活用する方法も検討されました。残渣を農地にすき込めば、土づくりに役立ちます。しかし、ネックとなるのが栽培で使用された紐です。紐をひとつひとつ取り除くと膨大な手間がかかりコストアップになります。その問題を解決するために、海外資材を利用し紐を使わない栽培方法を実験的に取り入れました。この栽培方法が確立されれば、残渣を遊休農地の再生などに役立てることができます。
誕生から1年が過ぎ、イノチオファーム豊橋は「次世代の農業」を発信するという使命を少しずつ果たしています。 施設見学や講習会を通して、先進機器を活用した栽培管理、そのデータを公開。 そして、人財育成のための研修制度も開始し、新規農業者へのサポートを行っています。 日本農業の発展のためにイノチオグループ社員のチャレンジが続いています。